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男性社員の育休取得で受給可能な助成金

今年の6月に育児介護休業法が改正されました。内容としましては、

①男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠みの創設

②育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する義務付け

 個別の周知・意向確認の措置の

③育児休業の分割取得

④育児休業の取得の状況の公表の義務付け 

⑤有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

という事で、令和4年4月1日から段階的に施行になりますが、この改正により、男性社員の育休取得希望者も増える事が予想されますし、企業も男性の育休取得の推進を求められるようになります。しかしながら、男性社員に育休で休まれると売り上げや生産に響くので困る、といった企業様や、男性社員の育休取得について社内に理解・周知されていないといった問題があり、なかなか最初の一歩を踏み出せない企業様も多いのではないでしょうか?特に中小企業ではそうだと思います。

そんな企業様にも是非知って頂きたいのが、男性社員の育休取得で申請・受給できる助成金です。

この助成金には昨年から加算も追加され、当事務所でもイチオシの助成金となっています。今回はこの助成金についてお話をさせて頂きますので、特に、若い世代の男性社員がいる企業様はお読みいただければと思います。

男性育休

両立支援等助成金 出生時両立支援コース

育児・介護を支援する助成金として「両立支援等助成金」という助成金があり、
これには3つのコースがあます。
出生時両立支援コース、育児休業等支援コース、介護離職防止支援コースの
3つになりますが、男性社員の育休取得に関する助成金は
1つ目の出生時両立支援コースになります。
この出生時両立支援コースは別名「子育てパパ支援助成金」と言われ、
男性が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場づくりに取り組み、
男性の育児休業や育児目的休暇の利用者がいる事業主に支給される助成金となっています。

何日の育休でいくら受給できるか?

では、まずはこの出生時両立支援コースの要件について詳しく見ていきましょう。
まず、男性社員が子の「出生後8週間以内」に育児休業を「連続して5日以上」取得する、
という事が要件となります。
「出生後8週間以内」「連続して5日以上」なので、
例えば産まれてから3ヶ月後だとか、連続でなく飛び飛びでトータル5日では
要件を満たしませんのでご注意ください。
また、「連続して5日」というのは、定休日を1日だけ含めても大丈夫ですので、
例えば土日が定休となっている会社の場合は火曜~金曜の4日間を休み+土曜日、としても良い事になります。
(なお、中小企業は「連続して5日以上」とされていますが
大企業は連続14日以上の育休取得が必要です。)
こうした要件をクリアして申請すれば、57万円受給できる事になり、
生産性要件を満たしますと72万円となります。
そして、さらに個別支援加算という加算もあり、対象の男性社員に
会社の育児休業規程に基づいて個別に説明をして頂くと10万円(生産性要件を満たすと12万円)
加算されるというものになります。これはそう難しいものではないので、
個別に説明さえして頂ければ57万円+10万円セットで受給して頂けると思います。

育児目的休暇をご存じですか?

ところで、先程お話した「育児休業」ではなく「育児目的休暇」というのはご存じでしょうか?
育児目的休暇は、子供が生まれる前の色々な準備や、生まれた後に育児をする為の休暇でして、
これに関しても助成金があります。育児目的休暇の取得に関しては育休取得時の要件と違い、
子の出生6週間前・出生後8週間以内の間に5日間以上取得で貰える助成金になります。
これは「連続」して5日取得ではなく、トータルで5日で大丈夫です。
受給額としては28.5万円、生産性要件を満たすと36万円ですので、
10日以上育児の為に休みたいという男性社員がいる場合は育児休業取得時の助成金と
併せて申請して頂ければと思います。

申請時の注意点

以上のように、男性の育休取得で57万円、個別支援加算で10万円、
育児目的休暇取得で28.5万円といった助成金があるので是非ご活用頂きたいですが、
申請において注意して頂きたい事がいくつかあります。
まずは就業規則についてです。助成金申請に就業規則はなくてはならない物ですが、
その中でも育児休業規程をきちんと定めているか、また、
その育児休業規程がきちんと法律に沿ったものになっているかという事にご注意頂きたいです。
育児介護休業法は改正される事が度々あるので、就業規則の内容がそれに合っていないといけません。
また、個別支援加算の申請については先程、対象の男性社員に個別に面談することで
受給できる加算であるとお話しましたが、面談を実施していないのに実施した事にして申請すると
労働局の調査で発覚し、不正となって受給できなくなるので、決して虚偽申請はしないでください。
ですので、面談を実施した時は書面などを用意し、
その男性社員に面談を受けた事のサインを貰っておくのが良いでしょう。

助成金を活用して子育て支援を

これまで育休は主に女性社員が取るもの、と思われがちでしたが、
時代は変わってきています。
昔は同居の親が赤ちゃんの世話を手伝ってくれましたが、今は核家族化が進み、
親の手助けを得られない家庭も多くなっています。
そうなると、やはり夫婦で協力して育児をしないと、母親だけでは大変なのです。
こういった社会的背景を見ても、やはり男性の育休取得は必要だと思います。
是非、助成金を活用して、子育てしやすい会社作りを目指してください。
当事務所では就業規則の作成・修正や助成金申請についてサポート致しますので、
子育て世代の従業員がいらっしゃる企業様は是非お気軽にご相談ください。

宇佐美雅之のプロフィール

三重県四日市市の社会保険労務士法人グラントうさみの代表社員です。

グラントうさみでは、この5年間で顧問50社以上、助成金の申請に関しては400社以上のお手伝いをし、
就業規則や雇用契約書作成、給与計算などといった労務基盤を整え、
皆さんのより良い会社づくりをサポートしてまいりました。
最近では、来年から中小企業も義務化されるハラスメント対策にも力を入れています!
趣味は野球です。

サラリーマンから社労士に

社労士になる前は、普通のサラリーマンでしたが
長年勤めていた会社で残業代が払われておらず、会社に不信感を抱いていました。
いざ、辞めるとなった時に、残業代請求をする事にしたのですが、
色々と労務について調べると、その会社がいかに杜撰な労務管理をしていたかが分かり
会社に対して失望しました。

その会社を辞めて、別の会社に転職しましたが、父親が社労士をしていた事や
自分が残業代請求をした経験もあり、一から勉強して自分も社労士になり
会社と従業員が気持ちよく働ける会社づくりを
サポートしていきたいと考えるようになりました。


それからは必死で勉強をし、資格を取るという一心でやってきましたが、
その中で労務の難しさや必要な知識量の多さに圧倒されつつも
これだけ難しい事をやらなければいけないのは企業も大変だろうと思い、
ますます、企業やその従業員の為に力になれるよう、頑張ろうと思いました。

資格を取得してからは父と一緒に社労士の仕事を始め、労務にお困りの会社さん、
助成金を申請したいけどやり方が分からなくてお困りの会社さんの声を生で聞き、
会社ごとに抱える労務の悩みやそれに対する解決方法をより的確に
把握する力を培ってきました。

また、労務や助成金に関するセミナーなども随時開催したり
You Tubeなどで積極的に情報発信をし、より多くの経営者のお役に立てる
社労士事務所になれるよう日々奔走しています。
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