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社会保険の適用範囲の拡大

こんにちは。三重県四日市市で社会保険労務士をやっている宇佐美雅之です。

2024年10月から新しく、パート・アルバイトの方の社会保険の加入義務の適用範囲が広がります。
今までは従業員数が「101~500人」の企業等だったのに対して、「51~100人」の企業等で働くパート・アルバイトの方も、社会保険の適用となります。
今回は新たな適応範囲と適応される条件について、くわしくお伝えしていきます。

社会保険の適応範囲って?

社会保険の加入は適応範囲内の事業所、従業員の両方に義務付けられています。
それぞれの適応条件については以下の通りです。

〇事業所の適応条件

・常時従業員を使用する国・地方公共団体
・法人の事業所(事業主のみの場合を含む)
・従業員が常時5人以上いる個人の事業所(農林水産業やサービス業などの一部の事業を除く)

これらの事業所は強制適用事業所と呼ばれ、社会保険の加入が義務付けられています。
また、上記条件に当てはまらない場合でも、認可を受けることで任意適用事業所として
社会保険に加入することが可能です。

〇従業員の適応条件

・フルタイムで働く従業員
・週の所定労働時間および月の所定労働日数がフルタイムで働く従業員の3/4以上の従業員

こられに該当する従業員は原則、社会保険適用の対象となります。
また、労働時間3/4未満のパート・アルバイトであっても、いくつかの条件に当てはまる場合は
社会保険の加入が義務付けられます。

新たな適応範囲

では10月から何が変わるかというと、上記の労働時間3/4未満のパート・アルバイト
の場合の条件です。
条件はいくつかありますが、その内の1つの「従業員数が101~500人以上の企業で
働いている」という部分が変更になり、新たに「従業員数が51~100人の企業で働い
ている」方も加入しなければいけなくなりました。

従業員数はどうやってカウントする?

ではこの「従業員数」とはどう数えているのでしょうか?
カウント方法は上記の図の通りとなります。
カウントされる従業員は「会社と雇用関係にある人」となるため、正社員だけでなくパートや
アルバイト、契約社員まですべての人のことを指します。
ただし以下は従業員としてカウントしないので注意が必要です。

・派遣社員 人材派遣会社と雇用契約を結ぶため、派遣先ではなく人材派遣会社の従業員です。

・役員 取締役や会計参与、監査役などに代表される会社役員は企業と雇用契約を結んでいない
    ため従業員ではありません。
    しかし、管理職と役員職を兼任している場合に雇用契約を結んでいると従業員となります。

・業務委託 雇用契約を締結していないため、従業員には含まれません。

労働時間3/4未満のパート・アルバイトの社会保険適応条件

では労働時間3/4未満のパート・アルバイトで社会保険に加入しなければいけない人はどんな場合でしょう?
上記の企業の従業員数+下記4つ全てに当てはまる場合が加入条件になります。

〇週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
(契約上の所定労働時間であり、 臨時に生じた残業時間は含みません)
 ※フルタイムで働く従業員の週所定労働時間が40時間の企業等の場合
 ※契約上20時間に満たない場合でも、実労働時間が2ヶ月連続で週20時間以上でそれ以降も続く見込みの場合、
 3ヶ月目から加入対象。

〇所定内賃金が月額8.8万円以上
 ※基本給と手当の合計額です。 残業代・賞与・通勤手当・臨時的な賃金等は含みません。
  含まれない例)賞与、割増賃金、皆勤手当、通勤手当、家族手当等

〇2ヶ月を超える雇用の見込みがある

〇学生ではない
 ※休学中、定時制、通信制の方は加入対象

対象だと気づかず、加入義務を守らなかった場合

もし社会保険の加入対象であることに気づかず手続きを行わなかった場合、
それが悪質性が認められると6ヵ月以下の懲役あるいは50万円以下の罰金となる
可能性もあるようです。
本来支払うべき保険料を納めてこなかったとなると、過去2年間に遡って保険料の支払いが
生じるだけでなく、追徴金を請求されることもあるります。
従業員数を正しく数えた上で「義務適用かどうか」を確認しましょう。

変更についての周知も行いしっかり対応を

新たな加入対象者には手取りが減るかもしれないなどのデメリットがありますが、
加入によって「将来受け取れる年金が増える」、「傷病手当金、出産手当金等が受け取れる」
といったメリットもあります。
従業員へ広く周知を行い、メリット・デメリットや加入対象者への意思確認など、
しっかり対応していきましょう。

宇佐美雅之のプロフィール

三重県四日市市の社会保険労務士法人グラントうさみの代表社員です。

グラントうさみでは、この5年間で顧問50社以上、助成金の申請に関しては400社以上のお手伝いをし、
就業規則や雇用契約書作成、給与計算などといった労務基盤を整え、
皆さんのより良い会社づくりをサポートしてまいりました。
最近では、来年から中小企業も義務化されるハラスメント対策にも力を入れています!
趣味は野球です。

サラリーマンから社労士に

社労士になる前は、普通のサラリーマンでしたが
長年勤めていた会社で残業代が払われておらず、会社に不信感を抱いていました。
いざ、辞めるとなった時に、残業代請求をする事にしたのですが、
色々と労務について調べると、その会社がいかに杜撰な労務管理をしていたかが分かり
会社に対して失望しました。

その会社を辞めて、別の会社に転職しましたが、父親が社労士をしていた事や
自分が残業代請求をした経験もあり、一から勉強して自分も社労士になり
会社と従業員が気持ちよく働ける会社づくりを
サポートしていきたいと考えるようになりました。


それからは必死で勉強をし、資格を取るという一心でやってきましたが、
その中で労務の難しさや必要な知識量の多さに圧倒されつつも
これだけ難しい事をやらなければいけないのは企業も大変だろうと思い、
ますます、企業やその従業員の為に力になれるよう、頑張ろうと思いました。

資格を取得してからは父と一緒に社労士の仕事を始め、労務にお困りの会社さん、
助成金を申請したいけどやり方が分からなくてお困りの会社さんの声を生で聞き、
会社ごとに抱える労務の悩みやそれに対する解決方法をより的確に
把握する力を培ってきました。

また、労務や助成金に関するセミナーなども随時開催したり
You Tubeなどで積極的に情報発信をし、より多くの経営者のお役に立てる
社労士事務所になれるよう日々奔走しています。
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